リドヴォーでシャンパーニュ。

ちょっと珍しい病気になってしまったコピーライターの日記です。

手術翌日。「創生のくるしみ」はここに繋がっていたのかも

昨夜はさほどの痛みもなく(鎮痛剤が効いているので)
術後なので1~2時間ごとに看護師さんがやってきて
体温や血圧を測定してくれる。
38.2度くらいの発熱があったが、それほどつらくもないので解熱剤は辞退。
そこそこぐっすり眠ることができた。

朝、副担当医A(濃い顔・クール系)が来室。
「傷の痛みどうですか?胸腔鏡でやったから、
それほど痛まないと思いますが」
「腫瘍は7センチあったと聞きましたが、
胸腔鏡で出せたんですか?」
「はい。3か所穴を開けて、その中の1つから引き出しました」
「そんなことしたら、腫瘍が弾けてばらまかれたりしないんですか?」
「特殊な袋で腫瘍を包み込んでから引っ張り出したので大丈夫ですよ」

それって、もしかしてかなりの神業なのでは?
やっぱり私の直感は間違っていなかった。
診断から2か月半待たされたけど、W先生におまかせして良かった!

それにしても、わずか2センチほどの穴から
全長7センチの腫瘍を引き出すなんて、何かを連想する。

そうだ、これって、まるで出産?
狭い産道を通って生まれてくる赤ちゃんみたい。

そのとき、94歳の占い師から授けられた言葉、
「創生のくるしみ」が脳裏をよぎり、
すべてが繋がっているような気がするのであった。

 

手術終了。胸腔鏡で7センチの腫瘍を摘出。これって、神業じゃないですか!?

f:id:kgrapevine:20200129070752j:plain

アロマテラピストの友人お手製のハーバリウム風オイル。リラックスできる香り


1月27日13:05、担当の看護師さんと手術室へ入室。


私と同年代の方なので、
エレベーターで18Fから9Fに向かいつつ、
「えー、お孫さんいらっしゃるんですか」
「娘、もう30だから・・・でも、
出産が大変で腰傷めて手術したから、もう産めないのよう」
「いやあ、うちなんて産むの遅かったから、娘まだ高1ですよー」
なんて話しながら手術室へ。

手術フロアには、全部で15の部屋が。
それがほぼ1日3回転、つまり約45件のがん手術が
毎日行われているそう。

入室して手術台に横になると、まずは痛み止めの硬膜外麻酔、

それから全身麻酔へと進む。
戸田菜穂似の若い麻酔科のドクターに処置してもらう。
ドクターも看護師さんも女子なので、
てきぱきと手順を進めながらも、ちょっとした世間話を挟みながら、
きゃっきゃした和やかな雰囲気。
「そうかーこの人たちにとって、手術は日常なんだなあ」と
改めて思ったりしているうちに泥酔、じゃなくて熟睡。

気づいたときには回復室に寝かされていて、
体中に心電図やら点滴やらドレーンなどがつけられ
身動きできない状態。
喉の奥まで挿入されていた管を抜いてもらうと、
なんだかいがいがして、声が出にくい。
でも、それほどの痛みは感じないし、
ぼうっとしているものの具合も悪くない。

1時間後、ベッドに乗せられたまま個室へ。
待機していたオットに、手術の結果を早く教えろとせかす。
生来の口下手なので説明が今一つわかりにくいけれど、
整理すると以下の通り。

・腫瘍はすべて問題なく摘出できた。
・胸腺がんではなく、胸腺腫。悪性度は低そう。(確定診断は1か月後)
・腫瘍は最大7センチあったが、切開せずに胸腔鏡で取り出せた。
・翌日の午後には歩く練習、食事は昼食から。
・30日に退院し、2週間後に術後外来。その後は半年ごとの経過観察。

7センチもの腫瘍を胸腔鏡で!?
診察の際、4センチ以上あると胸腔鏡では無理と言われていたので、
ちょっと信じられない。
とはいえ、今のところ、これ以上ない良い結果といえるだろう。

脇を5センチ切開したと思い込んでいたから、
そのあたりが痛むような気がしてたが、
胸腔鏡と聞いたら、
いつの間にか痛みが気にならなくなっていた。

それにしても、喉が渇いた。おなかが空いた・・・

 

手術当日の朝。執刀医のドクターにエールを!

今週のお題「応援」

 

昨夜は10時半頃就寝、途中で1回目が覚めたものの、
5時過ぎまでよく眠れた。
病室の窓から10時の方向にそびえたつ
電通ビルを眺めながらストレッチ。

f:id:kgrapevine:20200127090514j:plain

電通ビルを見ると、「早く治って仕事せい!」と励まされているような気が

7時前、副担当ドクターA(濃い顔のクール系)が訪れ、
手術をする右側の胸の上に油性マジックでマーキング。
(取り違えを防ぐためだそうだが・・・)
その後、体温・血圧・体重測定。

昨夜の下剤の効果が出てトイレにこもっていると
「〇〇さーん、おはようございます」と爽やかな声が。
今度は副担当ドクターB(高身長の癒し系)。
やはりこのタイミング・・・


すきっ腹を抱えたまま「スカーレット」を見ていると
主治医・ハンサム熊さんドクターも登場。
「どうですか?眠れましたか?」
「はい、よーく眠れました」
「じゃあ、今日午後からですからね。
がんばっていきましょう!」
はい、わたしはぐ~すか眠ってしまうけど、
先生、がんばってください!お願いします!

朝から湯河原のOちゃん、松本のTちゃんが
ラインでエールを送ってくれてうれしかった。

ありがとう!


そして、お読みいただいた皆様、ありがとうございます!

f:id:kgrapevine:20200127090647j:plain

入院のお供はこの2冊と、キンドルいっぱいの漫画たち。特に右の一冊は空腹にしみる

 

次の更新は明後日かなあ。
早くごはん食べたい・・・

 

 

入院3日めの続き。明日はいよいよ手術!

イカ墨パエリア、カヴァはお預け

お昼ごろ、友人が訪ねて来てくれたので、
外出許可をもらって「銀座びいどろ」でパエリアランチ。
いつもなら食前にカヴァをオーダーするところだが、
もちろん今日はぐっと我慢。

f:id:kgrapevine:20200126205752j:plain

魚介とイカ墨、2種のパエリアをシェア


フォトグラファーである友人は、
来週から南アフリカへ撮影旅行に。
実は私もどこかでコラボする予定だったのだが、
病期発覚のおかげでお流れに。
次のタイミングでご一緒することを約束し、
お互いの無事と健闘を願ってエールを贈り合う。

シャンプーもしばらくお預け!

その後、娘と一緒に行きつけのヘアサロンで
カットとヘッドスパ
明日から2~3日はシャンプーもできないだろうから、
スタイリング剤はなしで、と言おうと思っていたのに、
ヘアアイロンとワックスで
ムダに素敵にセットされてしまった・・・

術前最後の食事は・・・

病院に戻り、18時に夕食。
カレイの竜田揚げ椎茸添え、細かく切った野菜の酢の物風サラダ、
里芋、大根など具だくさんの味噌汁、たくわんに白いご飯。
食後にオレンジ2切れ。

 

病院のお食事、質素ながらご飯はいつも炊き立ての温かさ、
お味噌汁もしっかり出汁の味がしておいしい。

f:id:kgrapevine:20200126205851j:plain

術前最後の食事

 


さあ、これからは固形物NG。
21時に下剤を飲み(浣腸ではないのでちょっとホッ)、

午前0時からは水もNG。

いよいよだけど、なんだか実感がわかない。
明日の今頃は手術も終わり、個室に戻っているころだろう。
とにかく手術が無事に、そして腫瘍の浸潤がありませんように。

 

先日読んだ「がんでも長生き こころのメソッド」によると、

病気が治ることを自分で強く信じることはもちろん、

家族や友人など、誰かが願ってくれることも治癒を後押しするという。

ぜひ、皆様にエールをいただけると嬉しいです(^ω^)

 

今週のお題「応援」

 

入院3日め。匂いの記憶

入院3日めの朝。
昨夜もよく眠れた!


ふだんどれだけいろいろなことに眠りを妨げられているかがよくわかる。
家族や猫がたてるさまざまな物音、仕事のことや娘の学校の予定、
明日のお弁当づくりの段取りやゴミ出しの曜日。
そんな一切から解放されてみると、
睡眠の質がめざましく向上するのだ。
あ、あとお酒を飲まないのも要因かもしれないです。

 

ところで、入院するとすぐ腕にリストバンドが装着され、
本人確認や注射・採血・レントゲン・手術まで、
すべての照会や記録に使われる。
退院するまでは、入浴中も外せない。

今朝、ふとリストバンドの下の肌を嗅いでみたら、
なんだか懐かしい匂いが・・・


若いころ、腕時計を外した後に感じた、甘酸っぱいような匂い。
最近、昔のように長時間腕時計を着ける習慣がなくなっていたので、
20年以上ぶりかも。


あの頃は、がん専門病院に入院するこんな未来を思いもしなかった.
すいぶん遠くまで来てしまった気がする。

 

入院2日め。ちらし寿司のち、銀座でパフェ

意外にも爆睡できた入院第一夜。

入院2日めは土曜日なので、検査などの予定はなし。
6時半に起床、いつものようにBSで「スカーレット」を見て
8時に朝食。

下膳しようと廊下へ向かうと、初対面の副担当医と入り口で鉢合わせ。
濃い系の顔立ちの若いドクターだ。
「担当の○○です。(トレーの上をちらっと見て)・・・納豆おいしかったですか?」


ははは、茨城出身なので納豆大好きなんですよね。
「NO NATTO, NO LIFE」です!

一見ホテルのような個室だが、
基本カギをかけないので、医師やスタッフがたびたびやってくる。
ちょうどトイレに入っているときとか、
納豆の残り香が充満しているときとか、
必ず来てほしくないタイミングで来るのはなぜ?

 

豪華ジャグジーでリラックス

午前中、特別個室フロアの特権、ジャグジーへ。
看護師さんに案内されて入室すると、
絶景のラウンジ、ここはホテルですか!?
かなりテンション上がる!

f:id:kgrapevine:20200126073934j:plain

予約制で使えるジャグジー

お風呂上り、部屋でドライヤーかけているところで、
ハンサム熊さんドクターがご来訪。
「おはようございます。体調はいかがですか」
今朝もにこにこ、さわやかだが、
ちょうど左側半分をブローしたところで、右半分はもしゃもしゃ状態。
やはりタイミング悪し・・・

絶食に備えて食べたいものを食べる!

お昼に家族がやってきて、築地場外でちらし寿司。
(万が一食中毒になると手術が延期になるので)
ナマモノは食べないように言われていたが、ここは築地。
やっぱり、食べちゃうよね・・・

f:id:kgrapevine:20200126074229j:plain

寿司清で極ちらし

 

そして、娘と銀座・千疋屋へ。
30分並んでありついたフルーツたっぷりの銀座パフェ。
ふと、「わたしいま、入院中なんだな」と我に返って不思議な気分になる。

f:id:kgrapevine:20200126074323j:plain

フルーツ全部のせ!

くりっとした腫瘍、かわいいままでいて欲しい

入院患者の一日は長い

 

入院1日めの続き。

17時頃、主治医の回診。
白い巨塔」状態で6~7人いらっしゃり、
「こんばんは、体調はいかがですか」と
いつものように爽やかなハンサム熊さんドクター。
朝から3件肺がん手術をこなしてお疲れのはずなのにすごいなー

 

手術の詳細を根掘り葉掘り聞く

 

その後夕食を済ませ、面談室で
別のドクターから手術について詳細な説明を受ける。
初対面のドクターで、40代くらい?
栄養状態が心配なほど痩せられているが、
ほがらかで親しみの持てる雰囲気に、
ここぞとばかりにいろいろと質問をしてしまう。
以下、自分用に簡単なメモ。
(手術とあまり関係ないことも混じっています)

・現段階では胸腺腫の「疑い」
・手術の目的は「前縦隔腫瘍の診断と治療」
・腫瘍の大きさは縦5.5センチ、横4.5センチ
・胸腔鏡を入れて内部を観察後、右わきを5センチほど切開して摘出
(胸腔鏡での摘出も否定しないが、たぶん切開する)
・所要時間は約1.5時間だが、麻酔などの準備から面会までおおむね5時間の予定
・腫瘍の形状から胸腺腫で周囲への浸潤は少ないと思われるが、確実ではない。
・摘出した腫瘍は即顕微鏡で観察。悪性度を簡易診断
・その後病理検査にまわし、約4週間で確定診断
・万が一悪性の胸腺がんだった場合は、その後放射線抗がん剤治療になる可能性も。
ただ、腫瘍の形状からその確率はかなり低いと思われる
・万が一、腫瘍が大きくなっていても、正中切開はしない
・腫瘍が発生した時期の特定はできないが、たぶん10年単位
・胸腺腫の病期は大きさとは関係がない
・胸腺腫の手術は年間20件程度 肺がんは600件
・希少がんの治療は集約的に行われる方向
・希少がんセンターを通じて来院する人が多い
・希少がんセンターのHPは閲覧数が多い(情報が少ないから集中する)

私が一番気になっているのは、やはり腫瘍の悪性度。

千葉大学医学部のホームページによると、
胸腺腫は「正岡分類」で4期に分類され、
I期とⅡ期の場合、ほぼ100%が手術で完治するという。
その進行度は腫瘍の大きさではなく、
周囲の組織への浸潤度合、転移の状況などで判断される。

ドクターにそのあたりの見込みをしつこく聞くと
「周囲に浸潤がある場合は、

腫瘍の形状がもやもやと複雑になっていることが多いです。
サバねこ主義さんの場合、CT画像の形がくりっとしているので、
それほど悪性ではないと推定しています」

くりっとしている私の腫瘍。
なんだかかわいい。
とはいえ、この画像を撮ってからすでに2か月、
進行が遅いタイプとはいえ、変化している可能性もゼロではない。
願わくば、このままくりっと、おとなしくしていてね・・・