奇跡のようにいまを生きてる
「告知」とは、その字面の通り「告げ、知らせること」
ですが、なぜか、がんの枕詞のようになっていますよね。
私が「告知」されたのは、約一年前の11月5日のこと。
とはいえ、主治医の経験から
「命にかかわることのない軽微な状態」と判断されたのか、
まったく深刻な雰囲気ではなく
「ま、大丈夫ですからねー
腫瘍をまるっととったら終わりですよー」
という感じでした。
そうは言っても、やはりがんはがん。
それなりのショックは受けたし、
人生でもっとも「死」に近づいた瞬間だったのは確か。
告知の夜しんと冷たい爪先に言葉を持たぬ猫の温もり
それは、六義園の紅葉がはじまる時期で。
毎日のように散歩に出かけては、
いろいろなことを考えたな。
さくさくと落ち葉を踏みしめながら。
ふと、空中に浮かんでいるような一枚の枯れ葉が目にとまり、
「わたしの命って、こんな状態かもしれない」
と切実に感じたことが、いまも心に残っています。
蜘蛛の糸ただ一筋にささえられ奇跡のようにいまを生きてる