リドヴォーでシャンパーニュ。

ちょっと珍しい病気になってしまったコピーライターの日記です。

「希少がん」がいっぱい。

まずは順天堂医院に行ってみようと決めてから、

改めてネットを調べてみると、

国立がん研究センター

「希少がんセンター」というものがあることがわかった。

今まで、身の回りでかかる人の多いがんといえば、

胃がん、肺がん、乳がん、大腸がん、子宮がんなどが思い当たるが、

こうしてみると、世の中には実に多種多様ながんがある。

実は「脳腫瘍」や「小児がん」も「希少がん」の領域で、

胸腺腫ももちろんここに含まれている。

この機関のホームページには、「希少がんホットライン」という

無料相談のダイヤルも掲載されていた。

相談は無料で、病院の紹介や治療方法、

ここから直接診療の予約をとることもできるらしい。

 

さっそく電話して「胸腺腫の疑いがあるといわれた」ことを話し、

胸腺腫の治療に適した病院を尋ねてみた。

「症例が一番多いのは、こちらの国立がんセンター

次に東大病院、帝京大、杏林大となります」

希少ながんだけに、やはり症例が多い病院にかかるのがいいような気がして、

この電話で直接予約がとれるかどうか聞いてみると、

「では、W先生の予約がとれるか確認してみますね」

どうやらW先生は胸腺腫の経験が豊富なドクターで、

順天堂の先生も、もとはここ、国がんの出身なのだそうだ。

そしてほとんど間をおかずに、

11月5日14:30の初診予約をとることができた。

さらに電話の女性が言うには、

「胸腺腫については、ちょうど今日中に

W先生のyou tubeがアップされますから、

もしよければご覧くださいね」

 

ここまでわずか5分ほど.

国立がんセンターといえば、がん治療の最高峰。

予約がとりにくいのではと思っていたけれど、

拍子抜けするほどスムーズだった。

もしかすると希少ながんだから、優先枠とかあるのかな?

と、思わないでもなかった。

なにはともあれ、週明け早々には2つの病院を受診するのだ。

大丈夫、ちゃんと前に進んでいる。

 

 

 

え!わたし、「がん」なの!?

突然ですが、「胸腺腫」という病気をご存知でしょうか。

いわゆる「希少がん」のひとつで、

人口10万人あたり0.44から0.68人が罹患するといわれています。

国立がん研究センター 希少がんセンターホームページより)

 

2019年11月5日、私はその胸腺腫と診断されました。

 

事の起こりは、今年10月20日に受けた人間ドックの結果。

郵送されてきた報告書には、「胸腺腫・胸腺がんの疑い」とあった。

まったく聞き覚えのない病名。

まるでぴんとこない。

ドックを受けたメディカルスキャニングで医師の説明を聞くと、

両肺に挟まれた胸腺という部分に腫瘍が認められるという。

「専門の病院に紹介状を書きますが、ご希望はありますか?

まあ、簡単な手術なので、

大きな病院の呼吸器外科ならどこでも大丈夫ですが」

てな軽ーい感じなので、それほど深刻な気分にもならなかった。

とりあえず1週間後に紹介状をもらうための予約をとって帰宅。

 

改めてウェブを検索をしてみた段階で、

「胸腺腫」が希少がんだということを知り、じわじわと不安になる。

今や日本人の2人に1人ががんにかかるともいわれ、

「がん=死」という単純図式は過去のものとはいえ、

やはりがんはがん。

 

病院を決めるに当たり、まずは3人の友人に意見を仰ぐことにした。

1人目は、乳がん経験者の友人、Mさん。

3歳年下の彼女は30代で乳がんにかかり、昨年再発。

がんの学会にも積極的に参加し、講演活動も行っているので、

どこの病院が良いとか、感じ悪いとか、患者の立場で

教えてくれるのではないか。

 

さっそくラインしたところすぐに返信。

たまたま友人の夫さんが胸腺腫で、T医大で手術を受けたという。

ラインで何度かやりとりをした後電話をくれて、

親身に話を聞いてもらい、救われた気分になった。

(ただし、T医大の呼吸器外科は実績も確かで

手術の腕もいいけど、ドクターは上から目線で

圧迫感があるという)

 

二人目は、小中学校時代の同級生で、医師のYくん。

いまは実家の医院を継いで「街のお医者さん」になっているが、

数年前までは地域の拠点病院で、呼吸器外科の専門医だった。

「小さな胸腺腫はほとんど良性だから心配いらないよ。

胸腔鏡で手術ができるし」といわれたものの、

腫瘍の大きさが6センチほどあるらしいと伝えると、

「だとすると、少し大変な手術になるかも。

順天堂、癌研有明病院などが間違いなさそう」と、

少し深刻さが増したニュアンス。

 

そして最後に、ママ友で眼科医のAさん。

「同じビルで開業している呼吸器内科の先生に聞いたら、

順天堂がベストだって!

うちの息子もあそこで手術したことあるし、

経営状態も良いから間違いないと思う」と、

さすがプロフェッショナルなアドバイス

 

皆さん、本当に迅速に対応してくれて、しみじみ嬉しかった。

 

となると、第一の選択は「順天堂大学付属順天堂医院」ですね。

うちから比較的近いし、湯島に住んでいた頃

子どもの休日診療でお世話になったこともあるし、

まずは11月6日の午後をネット予約。

そうだそうだ、順天堂、間違いなさそうだ!

 

~病院選び編、明日へつづく

 

 

 

88まで生きるつもりだったのに!!

 人生の折り返し記念に買ったもの

 

44歳の誕生日に、銀座のミキモト本店で真珠のネックレスを買った。

100万円を少し切る、人生で家(と保険)に次ぐ高額の買い物。

クレジットカードの限度額を超えていたので、

お店からカード会社に電話をして交渉し、やっと承認してもらった。

 

ミキモトの担当者はとても親切でエレガントで、

支払いを終えて帰る私を晴海通りに面する正面玄関まで慇懃に見送ってくれた。

 

私はそのネックレスを、「人生の折り返し記念品」にするつもりだった。

「折り返す」という考え方は、村上春樹の古い短編小説からいただいたもので、

元水泳選手の主人公が、35歳の誕生日を「人生の折り返し地点」と決めるというもの。

この話を読んだのはかなり前、多分20代の頃だったと思うのだけど、

44歳になるそのとき、ちょうど私の気分にヒットしたのだと思う。

仕事が忙しく収入もそこそこあって、

何か思いきった買い物をしたいという気持ちもあった。

また、ゆくゆくは、40歳のときに生まれた娘に譲れる、ということも背中を押した。

 

あれから10年ちょっと。人生の残り時間を考えるはめに

 

そう、あの時の私は、「少なくとも88歳までは生きるつもり」だったのだ。

日本人女性の平均寿命や身内の健康状態に照らせば、楽観的過ぎることもないだろう。

それに、40歳以上の高齢出産経験がある女性は100歳まで生きる可能性が高い、

というデータをどこかで見た記憶もあった。

 

あれから10年余り経ついま、リアルに自分の死と向き合うことになるとは、

その頃は、いや、つい先週まで予想だにしなかったのだが。